絵本で触れる量子力学

量子力学体験ツアー・宇宙の果てへ
作:波場直之 絵:うのあつみ
出版:小峰書店 1980円(税込)


今いる場所の100倍遠くへ。さらに遠くへ…。
ロボット・ヤクモの操縦するマシンに乗ってソラとパパが見た宇宙の果てって?
一緒に冒険の旅に出発しよう!


量子力学体験ツアー・超ミクロの世界へ
作:波場直之 絵:うのあつみ
出版:小峰書店 1980円(税込)


ネコのミケがコスモボールを食べちゃった??
ミケのおなかの中でコスモボールが爆発しちゃうよ?!
今度はお姉ちゃんのナミちゃんも一緒にミクロマシンでミケの口の中に入ります。そしてさらに小さく小さく。初めて見た分子、原子ってどんなもの?

※それぞれのタイトルのリンクは出版元の詳細ページです。
ご購入もそちらから可能です

発明家のパパが子供たちを連れて旅する量子力学の世界

この絵本に登場するのは発明家のパパ、小学生のソラくん、お姉ちゃんのナミちゃん、ロボットのヤクモです。
ママもちょこっと出てきます。
おっと、忘れてはいけない、ネコのミケもいました・・・。

そもそも”量子力学”ってなんだろう?

実は絵本のイラストを担当して、量子力学について一番よくわかっていなかったのは私だったりします。 地球を離れて宇宙に飛び出すソラくんの見た世界を私が想像できるのはせいぜい銀河系くらいまで。 ミクロマシンで小さくなっていくときはミケの口の中くらいまでしか想像できないんですよね。見たことがないから・・・。

『分子』『原子』『電子』という言葉は聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。 さらに分解して小さくすると『素粒子』という、これ以上小さくすることができないものになります。そしてこれらを『量子』と呼びます。(偉そうに書いてますが、あちこち調べるとそう出てくると思います)

よく見聞きするウイルスなんて素粒子の側から見たら地球のようなとてつもなく大きな存在です。
でも、星も空気も水も岩も体も花も木も、この世に存在するありとあらゆるものは全てこの小さな小さな素粒子で構成されています。 私は素人なのでこれ以上詳しくは説明できませんが、その『素粒子』がどういう働きをしてこの世界や宇宙を形成しているのかを研究するのが『素粒子物理学』です。 作者の波場直之先生は『素粒子』の研究をしていらっしゃる物理学博士です。

波場先生とは編集の方と一緒にオンラインで何度も打合せを行いましたが、一対一でお話をさせていただいたこともあります。 物理学についてもいろいろ話してくださいました。 どれもこれも楽しくて面白くて、数学や物理はからっきしの私もどんどん引き込まれてしまいました。 世の中は、なんて面白いものに満ち溢れているんだろう・・・なんだかそんな気持ちにもなりました。
先生の頭の中は楽しいことがいっぱい詰まってる。
物理学や量子力学は実はとても身近なもののような気がします。

絵本は『宇宙の果てへ』と『超ミクロの世界へ』の2巻に分かれています。
地球からどんどん離れていく『宇宙の果てへ』と、どんどん小さくなっていく『超ミクロの世界へ』は全く別のお話のように思えますが、宇宙は『素粒子物理学』の研究により、その構造が明らかにされようとしています。
未だ未知の部分もたくさんあるそうですが、そのあたりはきっと波場先生がこれから解明してくださることでしょう。

身構えてしまうととても難しく感じますが、ソラくんたちと一緒に宇宙はどんなふうになっているんだろう、どんどん小さくなっていくと何が見えてくるんだろう、と物語として楽しんでくだされば良いなと思います。

「宇宙を見て、ミクロの世界を見て、そこに出てくる言葉の何かに少しでも興味を持ってもらえて、将来その興味を深く追求する子どもがひとりでもいてくれたらボクは嬉しい」
波場先生はそんなふうにおっしゃっていました。
私もそう思っています

最後に、拙い私の表現力に辛抱強く対応してくださった波場先生、編集の渡部さま、増田さま、そして絵本のデザインを担当してくださったデザイナーさま、幾たびの色校正に対応してくださった印刷会社のみなさま、本当にどうもありがとうございました。深く御礼申し上げます。


物理は面白いよ! ー 波場直之先生のYouTubeチャンネル

波場直之先生の物理を優しくわかりやすく解説しているYouTubeチャンネルです。
”大学のセンセイの5分授業”、”デモ実験”、絵本のコメントをくださった宇宙飛行士の山崎直子さんとの対談もあります。
物理をもっと身近に。
興味のある方はぜひご覧になってみてくださいね。

イラストレーターのコダマアキコさんが描いた、波場先生とアイシュタインの肩組みアイコンがとても可愛いです♪