あの子が持ってた赤い袋

先だっての連休では本の表紙を描かなくてはならなくて、そこに向けて他の仕事をこなしながら徐々にエネルギーを溜めていたというのに「昼メシ買って来い」の一言でゲージがゼロになってしまったという、泣くに泣けない状況でした。
なんというか、一晩明けてシワシワになって部屋の中を床すれすれに浮遊している風船の気分ですわね、こういうのは。

…それでも描きましたけどね。プロですから。
そうだよ、これでもプロなんだよ!
情けないけどプロなんだよ!
誰か信じて!

本は11月に発行の予定です。地元の本屋さんでしか手に入らないのが恐縮ですが。
実はこの本にはコメントも添えないといけないのですが、それがまだできていません。
原稿用紙2枚くらいの字数なのかなあ。
書くときゃぽんぽんと文章が出てくるもんですけど、書けないときは書けないですね。
まさか「締めきりギリギリでした、すいません」とも書けないしなあ。
やばい。
さて、子供話題ばかりで恐縮ですが、相変わらずてんやわんやです。
次男カイは昨日から宿泊研修に行きましたが、彼は喘息とアトピー性皮膚炎を持っているので、言わずもがなごっそりと薬を持参することになります。
テオドール、テオロング、アレジオン、吸入薬のフルタイド、ステロイド系塗り薬、等々。
これだけは絶対忘れるな、朝晩絶対忘れず飲め、いいか絶対忘れるなよ、

絶対忘れるなよ!


ああ、もうここまでで、何があったかわかりますね。

昨晩、そろそろ午前0時を回ろうかという頃にいきなり宿泊先から電話がかかりましたの。

「お母さん…薬がないの…。」
「なんでさ。リュックの中は。」
「ない。」
「全部見たの?」
「ウン。」
「本当にないの?」
「ウン。」

こういうとき子供のことは信じられないものなんですよ。
ないと言っても絶対ある。これまでだってそうだった。
「ほらー!ここにあるじゃないさ!どこ見てんのよ!」
こういうことは数限りなくあったわけで。
それでもまあ、家の中に置き忘れてないか探すわけです。
忘れないように真っ赤な袋に入れて持たせたんですが、それが見当たらなかった。と、いうことはやっぱり持っていっている可能性が高いわけです。

「昨日の夜、最後に薬使ってからどうしたの。」
「…覚えてない。」
「リュックに入れた?」
「…覚えてない。お母さんどう思う?」

知るかい、そんなもん。

「ほかの人の荷物に紛れてない?」
「探してもらったもん。」
「なかったの?」
「ウン。」

一度電話を切り、もう一度探せと言い渡し、我が家でも探しまくる。
探しまくるっていってもねえ、狭い家なんですよ。見渡しただけで分かるくらいなんですよ。
真っ赤な袋なんてないんですよ。
しゃーないなあ、と思いつつ、JRの時刻表を調べるわけです。
終電乗ったら朝つくな、とか始発に乗ったらとりあえず午前中に戻って来れるなとか、車だったらええと国道ずーっと行って、げげげ、こりゃ片道3時間だなとか、困ったなあ、ガソリン少なくなってたよなあ、とか。

「もーええわな、1日2日薬飲まんでも死なへん。」
と、シンが言う。
とにかくどうしようもないので、昨晩は薬を飲まずに就寝させました。

で、今朝。
7時頃に電話が鳴り、担任の先生から。

「すいませ〜〜ん、ありました〜〜、ほかの子の荷物に紛れてました〜〜!」


「なぁぁにぃぃぃ〜〜〜??」


…とは、言いませんでしたけどね。
一方的にそう叫ばれて呆然としましたね。
つか、なぜ紛れ込む?あの真っ赤な袋が。
誰が持ってた?赤い袋。

鏡を覗くとわたしの目もまっかっか。
勘弁してくれぃ。
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